「お兄さん!」
「よっ! 1週間ぶりだね」
「はい。この前はありがとうございました」
送ってもらったことに対してのお礼を言い、頭を下げた。
それなのに、彼は――
「いえいえ。弟の暴走を止めるのも、兄の仕事ですから」
そんな言葉を口にしながら、爽やかに、かつ、にっこり微笑んだ。
暴……走?
「……っ!!」
またあの時のことかっっ!!
きっと、顔が真っ赤だろうから迫力はないだろうけど、とりあえず精一杯睨みつけてみたけれど、迫力のない私の睨みは当然無視されて。
「あははっ! ごめんごめん。冗談だよ。誰か待ってるの?」
そんな風に流された。
「あ、はい。友達を。……宮崎航太が気を遣ってチケット2枚くれたので」
「そっかそっか。やっぱりアイツは美青ちゃんに渡したんだな」
「……え?」
「チケット、俺が手配してるんだ」
「えぇっ!!」
思わず上げた声に、通り過ぎる人達の視線を感じて慌てて口を押さえる。
「俺、サッカー協会の広報とかやっててさ。で、前回も今回も席を用意できたってワケ」
「そ、そうなんですか」
「うん。前回もだったんだけど、アイツいくら聞いてもチケット誰に渡すか言わねーし」
「……」
「まぁ、美青ちゃんだろうとは思ってたけど」
驚いて言葉も出ない私に、彼は楽しむみたいにそう言って、にっこりと笑う。
「スミマセン」
何だか……スミマセン。
「いやいや、全然! 謝る必要は全くないよ。俺は美青ちゃん、大賛成だし」
「え?」
「いや、こっちの話ね」

