一気に足取りが軽くなった豊平の背中から、オレは立ち止まったまま目を離せなかった。


豊平が何に“良かった”言ったのかも気になるけど………


オレ、なんであんな必死に久都は彼女じゃないって否定したんだ……?


普通に“違う”言えば良かったのに、どうしても豊平に久都との関係を誤解されたくなかった。


なんで………


「雫」


メルエフがうっすらした笑いを浮かべ、オレの肩に乗った。


「気づく事も、素直になる事も、大切だよ」


オレはこの時……もう半分は自覚してたんだ。


自分の、豊平への“思い”に―――…