「粋羅、お前ご所望の菓子無かったから、代わりのもの持って来たぞ」


“文句言うなよ”と、粋羅君にお菓子を押しつける関波君。


「あーーサンキュー!」


それから1時間後に帰るまで…全員何事も無かったかの様に振る舞った。


新菜と歩く帰り道、関波君達の家での出来事を思い返す。


粋羅君の高いテンションから助けてくれたのも、耳元で囁かれた言葉も。


全部……関波君なりの優しさだった。


「………力になりたいな」


一人言を発した瞬間、胸がキュンと締め付けられる。


この日、確実に私の中で何かが動き出した。