「関波君?」


「も、もう気にしてないから!構わず来い!!」


キョトンとしてる豊平にどうにかそれだけ言って、教室に駆け戻る。


「雫、イトコ君何だって?」


笑って聞いて来た正信に“いいって!”とぶつけ、机に突っ伏した。


さっきのお礼の時より鼓動が速まっている心臓に、気づかないフリをする。


――――違う。


こんな気持ちになってるのは、女子のああいう顔に慣れてないからだ。


決して――――……


「“カワイイ”と思ったからじゃねぇぞ………」


オレの呟きを聞いていたのは……アップで映る机だけだった。