そう言おうとしたけど、周防くんが手を繋いでくれたから黙った。
大学近くのスーパーだから、知り合いに会ったら気まずいけど。なにより周防くんと手を繋げてることが嬉しい。相反する思いに挟まれながら、結局このままという気持ちに収まった。
夕飯の買い物を終えて、私のアパートへ戻る。
「大学は順調か?」
ゴロゴロとジャガイモを洗っていると、隣でピューラーで人参の皮を剥く周防くんが言った。なんか、お父さんみたい。
「順調…といえば順調なのかも。どうして?」
「緋睡から、あまり大学とか友達の話を聞かないから。」



