何度目か、観客席を向くと先輩が視界に移る。緋睡と周防を隔てるかの如く。 「何ですか?」 「集中しろ。ったく、彼女持ちはこれだから。」 「特に集中していないわけでは…。」 「そういや、蒔田居ないな。」 話題の方向転換。しかし、同様に周防も周りを見回した。確かに、いつも金髪で目立っている蒔田が居ない。 バイトで遅れるのは珍しいことでは無いが、今日は少し時間が遅い。 そうこうしているうちに昼休みに入った。 少し目を離している内に、だ。 「紫暖、緋睡は?」