空を見上げる皇帝ペンギン。


知ってる人だっけ?と記憶を呼び起こすけれど、どの引き出しにもひっかからない。困惑して、通り過ぎようと歩き続けていたら、不意に前に手が出てきて、ガシリと大きな手に額を掴まれて後退した。

なななななな何!?

驚き過ぎて声が出ない。


「あんた、周防の彼女だろ?この前マンションのエントランスに居た。」


ああ、と私も聞き覚えのある声に記憶が合致した。周防くんの友達。あの時、本来ならばお鍋を周防くんと囲むはずだった人。


「まさか周防に何も言わずに帰ろうとしてんじゃねぇだろうな?」