今頃、絶対陸上の練習をしているはずなのに。 でも、私はペンギンよりも周防くんを見つけるのに自信がある。 足を止めた私に気づいて、 「知ってる人?」 と桃葉ちゃんがその人を見ながら聞く。うーん、どうかなぁ、と濁してみたけど心のどこかで確信が広がる。 その人が振り返る。 私が見ていたからか、その人が意図してこちらを向いたからか。 「…周防くん。」 確信は、絶対に変わる。 小さな声で呟いたのに、周防くんにはそれが届いたみたいに、笑顔になった。