高く売れる?聞き返す前に、受け取ってしまってその人は帰ってしまった。呼び止めようと思ったけど、その前に手の内にあるものに目が留まる。 「…周防くん。」 思わず呟いた自分にギョッとした。でも、その渡されたもの、写真には周防くんがすごく良い笑顔で写っていた。ドキリ、としてしまう。 「緋睡、どうした?」 周防くんは着替えを終えて出て来ていたみたい。私はくるり、と振り返りながら写真を鞄へ入れた。「なんでも無いよ」と首を振りながら答える。