空を見上げる皇帝ペンギン。


うん?と目で問いかけようとする前に、すぐ傍に周防くんの綺麗な顔があって、黙った。重なる唇は熱くて濃くてどうかなるんじゃないかと自分で自分を心配してしまう。少し唇が離された後、もう一度重なって背中が壁に当たった。

生理的に出た涙で視界が少しだけ滲む。周防くんの呼吸は少しも乱れていなくて、私の肩で息をする音だけが廊下に響いている気がした。


「…緋睡。」

「ん…?」

「頼むから、急に居なくならないで欲しい。」


多分、更衣室の前の長椅子から動いたことを言っている…んだよね。