「なんか…柚に似てる。」



ドクンー、



懐かしい名前。


思い出すだけで、
苦しくなる。



「全然似てねーだろ。」



動揺を必死に抑えながら
いつも通りに話す。



「絶対似てる!!雰囲気が。」


早く違う話題に変えたいのに。



「あっそ。俺はそうは思わない。」



俺のそっけない返事で一気に

その場の空気が重くなる。


「…なんか、悪かった。」



何で謝るんだよ…。


何で…何で…。






3分くらい沈黙が続いた。

蒼はこの沈黙を壊そうとは、
しなかった。



昔の蒼なら…気まずい空気を
さらりと笑いに変えたのに。



今の蒼は大人になった。


俺が切り出すのをじっと待ってる。



俺の目を見ながら。