「…そっか…。」
いつもの柚ならきっと、
言い返してきたのに。
「……言い返せよ…。」
ニッコリと微笑んで、
怒ることをしないから。
「いいの。今日わ…。
最後だから…紘斗と話すの。」
分かってるよ。
そんな事は。
最後くらい…ってやつだろ?
何なんだよ。
最後だから特別ってか?
「だから何?最後だから何なの?
最後だからって変える
必要あるわけ?」
悔しくなって、
がむしゃらに言った。
「…そうだよね。紘斗…
あまりそ-ゆうの好き
じゃないもんね。」
何だろう。
プツリと何かが切れる音がした
と思ったら、
「優しくすんなら京都なんかに
行くなよ!!」
予想外のことを言ってしまった。
「………え?…なん…で?」
ビックリして固まっている柚に対して、蒼はニヤつきながら俺を見つめる。
自分でも、
こんなことを言うつもりなんて
なかったのに。
「…何でもない。
気をつけて行ってこいよ…。
じゃあな。」
冷たく放ち、
俺は一人、
後ろを振り向くことなく
帰って行った。
最低で、
最悪な、
別れかたをしてしまった。