[短編]不器用同士




「優しい?俺が?
…そーじゃねーよ。」


「え?優しいじゃん?」



本当のカップルのように
甘い甘い会話を聞くのが、


苦しくて、


苦しくて。


どうしたら良いか
分からなくなった。



「優しいんじゃなくて、
当たり前なの!!」


「当たり前って?」


首を傾げる柚を見て、
クスクスと笑う蒼。


「柚ちゃんは俺たちの幼馴染みなんだよ?…あ、でも蒼とは鎖縁か(笑)……だから、柚ちゃんを心配するのは当然のことだし、それが普通なんだよ。」


「それって…普通…なの?」

「うん普通だよ!!
もちろん、紘斗だって
そう思ってるさ!!」


「えッ!?紘斗が?」




蒼が余計なことを言うから
柚が俺を見てしまった。



けど…
今の俺には何も言うことなんて
できない。


素直になることなんて、
できない。



「思ったことなんか…
一度もねーよ…。」




こんなにも自分のことを
コントロールできなくなったのは


初めてだった。