「クソッ、何でだよ…」



何で…


何でか…




二人を見ていられなくなって、

俺は席に着いて
寝る振りをした。



「あ、そうだ蒼。
今度の日曜日なんだけど… 友達とカラオケに
行くんだけど…一緒に
行かない?」



おいおい。

さりげなくデートのお誘いかよ。


そこは、二人で!!
とか言っとけし。


いや待て、二人は絶対
ダメだろ。



……………


ん?あれ?何で俺、今
ダメとか思った?



…………わかんねぇ…。




「紘斗も行くなら良いよ。」


やっぱり蒼は空気が
読めない。



「…紘斗も?」


「うん。紘斗も。」



寝ている振りなんて
してなかったら、


『行くわけねーだろ』と
言っていたのに…。



「だって、紘斗…
私のこと大嫌いだから
喧嘩になっちゃうじゃん」



ズキン。



初めてだった。


柚がそのことで
弱音を吐いたのは。



「気にするなよ。
あれは、紘斗なりの
コミュニケーションだよ」


は?馬鹿じゃないの?

コミュニケーション
では…ないよね?

普通に考えて。



「私…紘斗のこと、
"ムカつく"とは思った
ことあるけど…
"大嫌い"とは思ったこと
一度だってないんだよ?」



知らなかったー…。


お互いが大嫌いだから、

これが普通だと思ってた。



初めて知った真実は
かなり胸に刺さり、
立ち直ることが出来なかった。