このまま和気藹々とした空気で合コンが続くと誰もが疑わなかった、その時。
みんなが存在を忘れかけてた飛び入り参加メンバー、宮迫柚子の番が回ってきた。
最後の自己紹介。
ウェーブのかかった艶やかな髪をふわっと揺らして、柚子が立ち上がった。
「宮迫柚子。第三高校1年生。
趣味は読書」
なんとなく、場がシンと静まり返る。
それまで存在感が異様に薄かった柚子を、西高の連中はその時になってやっとまじまじ見つめていた。
幼さを残す、美しい顔立ち。
身長150センチに満たない小さな体躯。
そして眉間に刻まれた、深いシワ。
何とも言えない威圧感を出しながら、柚子はよろしく、と一言つぶやいてストンと腰をおろした。
第三高、いやこの場の女子の中で一番の素材の良さを誇りながら、場違いな愛想の悪さで場の空気を圧迫する。
それがこの場における宮迫柚子だった。
「…っ、んじゃ、気ぃ取り直して、じゃんじゃん歌っちゃおっかー!」
まずいと思ったらしく、幹事のリッコが無理やり明るい声を張り上げた。
それを皮切りに、みんなどんどん曲を入れだす。
「AKBとか歌っちゃおっかなー!」
「やめろタクミ、女の子ドン引きだから」
おとなしい曲ばかり入って微妙な空気が流れることもなく、それぞれがいい具合のテンションで歌声を披露していく。
肝心の西高女子だが、みんなそこそこのレベルなんだけど中の上揃いって感じで、イマイチ決め手に欠ける子ばかりという印象だった。
タクミの狙うお嬢系も1人いたんだが、オレに話しかけてきてばっかでちっともタクミに振り向かない。
あとで絶対怒られる。理不尽だ。
「ねーおなかすいた!
ポテト食べようよー」
「マキ、合コン来てまで食欲発揮してどーすんだよ」
楽しそうに笑いあうガールズ。
大食いのマキが注文した大皿ポテトをつまみながら、オレはミスチルの新曲を入れた。
そういえば柚子はどうしているだろうか。

