小さく手招きされ、 内緒話をするくらいの 距離にまでおそるおそる近づく。 そして、売り子さんは声を潜めて言った。 「お客様、おめでとうございます。 さっきのブザーは高額当選くじを 通した場合に鳴るものです…」 「……はい?」 「一等、6億円 …確かに当たっておられます」 「………」 ぐらり、と目眩がした。