「んじゃーね、サヤ!」
「うん、デート楽しんでね」
ナカと手を振りあって別れ、
一人帰路についた。
随分と日が暮れるのが早くなったけど、
この季節の夕焼けは綺麗だから、いい。
秋は、夕暮。清少納言もそう言った。
そうこうしているうちに家につく。
学生時代より少しだけ広いだけの、
古くも新しくもない物件。
私には似合いのこじんまりした部屋に
一人帰り、買い物袋を下ろし、
上着をかけてベッドにねそべる。
ふと、博之さんはどうしているだろうと思った。
前回は10日前に仕事の後小洒落た
居酒屋に連れて行ってもらった。
その後お礼のメールをして、
それに返信が返ってきて、それだけだ。
