ライフ・フロム・ゼロ


初めて来た宝くじ売り場で、
私はたった一枚の宝くじを買った。

数字を選んだりするのかと思っていたら、
違うらしい。

売り場で買いたい枚数を伝えたら
ランダムでコンピューターが数字を選び、
私たちはそれらが印刷されたチケットを貰うだけ。
なんだか拍子抜けだ。

「ナカ、私スポーツとかわかんないけど
 これ買っちゃって大丈夫なのかな」

「いいのいいの!どうにかなる!」

「ナカは何枚買うの?」

「そりゃ、どどーんと10枚でしょ!」

「………」

「なによその表情。一枚買っただけで
 当たりっこないんだからね!サヤのケチ!」

「ケチでけっこう」


私たちはそのうすっぺらなチケットをそれぞれ受け取った。
私はとりあえず、バッグの外ポケットにしまう。