ライフ・フロム・ゼロ



「そんなもんなんだねぇ」


乗り気でない私に、
ナカは頬をふくらませて言った。



「一枚でいいからサヤも買おうよ!
 んで、こうしよ。
 どっちかが少しでも当たったら
 会社前のホラ、新しくできたちょっと高い
 カフェのスペシャルジャンボメロンパフェおごるの!」
 
「…ふふっ」

「なにさ!」

「小さい条件だなあ、と思って」

「庶民なんだから仕方ないでしょ!
 3000円のパフェって超ぜいたくじゃん!」

ナカも笑っていた。だから私は言った。

「うん、いーよ。でも一枚だけね」

「一枚!?ケチだなぁー」

「夢の値段は300円で充分なの、私にとっては」

「じゃあコレにしよ!
 スポーツ振興くじ、
 最高額6億円のやつ!」
 

「はいはい」