ライフ・フロム・ゼロ




確かに彼らは外面がよかったし、
若く美しい母は私にとっても自慢だった。


残念ながら私は母に似ず、
父似の薄い小さな奥二重の目をした、

言うなれば「幸薄い」顔で
産まれてきてしまったけれど。


小さい私を遊園地や動物園
なんかに連れていってくれた
父の記憶は確かにあるし

母は手作りの暖かい食事を与えてくれ、
私がテストでいい点をとったりした時は
抱きしめて喜んでくれた。


薄暗いだけでなく、暖かいだけでもない。


それが普通の、そして
リアルな家庭なのではないだろうかと

25を目前にした今は思える。