ライフ・フロム・ゼロ



それだからといって、
私は目の前のこのちっぽけな紙片を
破り捨てることなど到底できないのだ。

私にはすでにこれを
「自分のものにしたい」
という願望が生まれているのだ。


大金が当たって嬉しいけど、
金額が大きすぎてこわい。

普通の毎日に満足していたし
それ以上も望んでなかったけど、
いざ大金を獲得するチャンスを得ると、
それに飛びつこうとしている自分がいる。


それを当然だと肯定したい気持ちと、
浅ましい人間だったのだと卑下している気持ちがある。

自分の考えだというのに色々と矛盾していて、
何が正しいのかわからなくて、
頭がパンクしそうだった。

不安で不安で仕方がない。


床に横たわって目を閉じると、
また涙がこぼれた。