そして携帯電話を取り出し、

あたしの秘書である鈴木さんへとかける。



「あ、鈴木さん。今週中までのは終わらせたので、あたし帰りますね。あとの仕事は家でやります」

『あ、ではガードマンと車を手配しているので駐車場まで来てください。ちゃんと社長室の前のガードマンもお連れくださいね!』

「わかってますよぉーっ」



鈴木さんとの電話を終えてから、鞄を持ち、

“ここは高級ホテルですかっ!”

とツッコミたくなるような社長室から出る。



スーツに身を包んだ外国人の

体の大きなガードマンに挨拶をして、

エレベーターに乗った。


鈴木さんは、必ずしつこいくらいに

あたしのことを心配する。


理由は、社長なのだから

一人で歩いていると、

誰か邪な考えを持つ人間に

誘拐されてしまう可能性があるかららしい。


そんなこんなで、社長になってからは

私一人で出掛ける事がめっきり減った。




エレベーターに乗っている中、

ビッグサイズのサングラスをかける。



理由は顔を隠すため―………