てきとうに先生に理由をつけて
仕事用の携帯で鈴木さんに電話した。
担任の先生からは、
ごめんなさいとの謝罪と同情する言葉と、
しくしくと涙ながらに
ストレスを暴露された。
お若いのになんとも可哀想である。
ファイトだ、先生。
「もしもし」
『あら社長。学校はどうでした?』
「今から帰ります。車用意できてますか?」
『出来てますよ、校門の前まで行くのでいらしてください』
「わかりました」
鞄のなかに携帯をしまい、
昇降口を出て校門前へと向かう。
日常用の携帯を取り出して、
翔太に早退を知らせるメールを送った。
送信したのを確認してから、
日常用の携帯をOFFにしておく。
「ひなた様、どうぞ」
手前のおじ様が
丁寧に車のドアを開けてくれた。
「ありがとう」
にこりと微笑み、車に乗り込む。



