なんとも広い白い部屋にポツンと残され、
なんだか少し寂しくなった。
足を組む際に、コツンと、
黒いパンプスのヒールが磨き床れた床を叩く。
ガラスのテーブルを挟んで
対に並んだ白いソファーの隣には、
試作品のワンピース達が姿を見せている。
うん。可愛いけれど、どこかイマイチ。
はぁ…とため息を吐きながら
その大量の資料を一枚手に取る。
一体、この仕事の多さは何なのでしょう。
「えーっと…?fan you(ファン ユー)のモデルの服…。宮瀬さんの雑誌からだーっ!!」
書類を手に、歓喜で、わあっと飛び跳ねた。
宮瀬さんはあたしのデザインした服を
最初に認めてくれて、使ってくれた人。
fan youは10代から
20代の女性向けで、
超人気雑誌だから反響が大きかった。
まあ、宮瀬さんのおかげで
あたしは立派な社長になれたわけだ。