「さ、お二人さん。どーぞ」
マスターに言われた通り、
カウンターの端っこの席に座る。
小さな照明が照らす、
薄暗くてお洒落な落ちついた店内だ。
……苺の花畑という名前は
どうもミスマッチだが。
「飲み物は何にする?」
「俺、ウーロン茶」
「あ、じゃああたしも」
「はいよ」
グラスに氷とウーロン茶を注いで、
コースターの上に置かれた。
マスターの後ろの棚には
たくさんのお酒なんかが並んでいるから
ここは軽食店兼、BARなんだろう。
「…なに食う?」
大崎に手渡されたメニューを
パラパラとめくる。
「うーんと…あ、これ!」
「ん?」
「このトマトのパスタ」
「あー、マスター。このトマトのと、きのこの」
「はーい。ちょっと待っててね」



