「綾音‥‥」




嬉しくて嬉しくて



私は綾音を抱きしめ返す




「紗南も、ありがとう」




「カナデわぁー?」




前の席のカナデと弘果も、私を心配してくれていたようだ。




「弘果もカナデも‥ありがとうっ」




人生で初めてなのかもしれない。



抱き締められたのも

心配されたのも

みんなでこんなバスに乗れたことも‥‥。




楽しい

楽しい

楽しい




この時間が

なにより大好きだった。





スッと綾音の身体が離れると、綾音はふっと笑って自分の席のほうに戻っていった。



あぁ‥そっか


綾音も私と同じクラスなんだ‥





「ねね、琉風とはどーいう関係なの!?」




「えっ!?なに言ってるの弘果!」




綾音との関係!?



そんなの言えないっ!!





「ほぉーんと、びっくりしちゃたぁ♪"あの"琉風クンが夏月を抱き寄せたんだもん!」




あ、あれは‥!!


みるみるうちに顔は赤くなる




「いやぁ‥まさかね」