チリリン〜


「いらっしゃい。」


髭モジャの店主が、カウンターから顔を覗かせた。


「お久しぶりです。」


「久しぶりだね。何年ぶりかね?」


「五年ぶりですかね?」


「もうすぐ 休憩の時間になるが、まぁ 良いよ。
久しぶりだしな…」


「すみません。彼女にマスターの作った ビーフシチューを食べさせてあげたくなって…」


「それは、嬉しいじゃないか。どうぞ ユックリ食べてって…」


「さぁ、座ろうか…」


「はい。…」


五年経っても、店の雰囲気は あの頃のままだった。


「今日は、デートかい?」


「ええ…そんなとこです。」


「クリスマスだもんな〜」


マスターは、話し好きだ。

しかし、マスターが作る料理は、絶品だった。



「シチューの他に何か作ろうか?」


「真奈ちゃん?何でも頼みなよ?」


「はい。… じゃ、生ハムのサラダとビーフコロッケを…」


「はいよ。…」








「お待たせ…
シチュー 熱いから、気をつけて…」


「はい。…」