君との出会いは
たまたま友達と見ていた雑誌だった。

君を見た瞬間、わたしの中の何かが
そっと動き始めたんだ。

それまであまり恋愛経験もなく、
ましてや恋愛に興味すらなかった。

そんなわたしに
恋を教えてくれたのは君…




それは小学校6年のときだった。


「ねぇ、ゆりあ!みて〜」

興奮ぎみにまゆが雑誌を抱えて
走ってきた。

「海人だよ!!もう〜ヤバいんだけどっ!」

あぁ、またか(笑)

まゆはアイドルにはまっていて、
あるグループで人気No.1の
竹下海人という人が好きらしい。

「え〜?!わたしはあんまりかっこいいとは思わないっ」

「ゆりあは男を見る目がないんだよー」

…うーん…そうなのかな?

「他にもっといい人いるでしょ(笑)」

「いないよ!海人以外に興味ないもんっ」

「ふ〜ん」

…と言いつつペラペラめくっていくと
その海人という人が所属している
グループに唯一わたしがかっこいいと
思える人がいた。

「まゆ、この人誰?」

話が終わり、苺みるくを飲んでいた
まゆが雑誌に目を向ける。

「あ〜、中西琉希だよ」

「中西…?」

「このグループのなかで一番年下で、可愛いを売りにしてる子」

さすがまゆ!詳しいわ〜

「へー、そうなんだぁ」

「なに、ゆりあこの子気に入ったの?」

ニヤニヤしながらこっちを見た。

「べ、別にっ」

まぁ、内心気に入っていた。
このときはそんなに深入りする
つもりはなくて、
詳しくは聞かなかった。

聞いたことは、

・グループ内で一番年下
・可愛いを売りにしている
・名前
・性格

など…、基本的な情報だけ。

このときはこれがわたしの
人生を大きく変える出来事だとは
思いもしなかった。

君との出会いは
あまりにも呆気なくて。