[違う‥!!] "違くないだろ?嘘はよくねーな。" [ごめ、んなさい‥] "‥‥謝んなくていいから今すぐ 帰ってこい。頼むから‥" [‥‥ッッ。分かった] 帰れない、とはどうしても 兄ちゃんに言えなかった。 "じゃあ待ってるからな" プチン。 通話の切れた携帯を右手で 握りしめて大きく深呼吸をする。 (荷物、まとめなきゃ‥。) 荷物といっても 本当に必要最小限のものしかない。 もともと、あたしが勝手に この家に転がりこんできたんだから 出ていく時は、あたしから。