無名(むめい)県、それがこの県の名前。県と言っても、土地はかなり広い。普通の人は変わった名前だなと思うだけだろう。本当の由来を知らずに。
北部全高校会長会議の次の日。
直樹は悠斗と一緒に学食で朝食を食べていた。
直樹は何気なくテレビのニュース番組を見ていた。
『続いてのニュースです。本日深夜1時頃、無名県で立て続けに工場が爆発するという事件が起こりました。』
「悠斗、なんか事件起きてるっぽい。」
「本当だな、この県で事件って最近聞いたことなかったけどな。」
ズルズルと朝からラーメンを食べながら悠斗が言った。
「今さらだけど、よく朝からラーメン食べられるよね。」
「朝に食べずにいつ食べるんだ!!」
いつになく真剣な顔で悠斗が言う。
「いやいやいや、あんたは昼も夜も食べてるでしょうが…。おっと、もうこんな時間だ。行こう、悠斗。」
「ゴク…ゴク…プハァ〜!よっしゃ、行くか。」
スープを一気に飲み干して悠斗が立ち上がり、2人は教室へ向かった。
【放課後、部室】
「あれ?今日は次狼さんだけですか?」
「ああ、他の生徒会メンバーは別の仕事で学校にいないんだ。とりあえず依頼入ってるから、仕事やってきてれ。」
「はい、行ってきま〜す。」