言っては駄目。
わかってるけど、口が勝手に動く。
「忘れましたか?」
駄目。それ以上は駄目。
口を閉じて。
彼には、甘い幻想を見させてあげて。
「死体は交換されると、貴方が申されましたのに。」
あぁ……視界が眩む。
このまま、死んでゆくのかもしれない。
大丈夫。貴方…春稀は一人じゃない。
――私は…貴方の幸せだけを願ってる――
ずっと…願ってる。
結局、タイムオーバーになったのは、彼の命じゃない。
私の命がタイムオーバーだったのか……
意識を失いかけた時、幼い頃の映像が流れ込んできた。
《ねぇ、春佳?もしも僕が、何者かに殺されそうになったら、春佳が僕を殺して?》
《……どうして?》
《だって、他人に殺されるより、家族に殺された方がマシだもん。》
約束、守れなくてゴメンね。
私は、ゆっくりと意識を手放した―――
〜end〜


