彼は、安心した表情を浮かべた。 ……………足音。 此方にやって来るようだ。 彼も足音に気づいたのだろう。 私の腕を掴んで走り出した。 今も、気づかない振りをする。 「っ…どうした…の…?」 彼は私の声に反応しない。 必死。 その言葉がぴったり当て嵌まる様子だ。 でも、自分の発言には笑ってしまいそうだった。 どうしたの? なんて、私が1番知っているくせに。