私は走って部屋に戻った。 そして、扉に鍵を架けて、ベッドの上でうずくまった。 まだ、感情が残っていたのか。 でも、所詮、微かにしか残っていない。 だって、涙が出ない。 『…あ、あれ?…鍵が架かっているんだが……開けてくれないか?』 案の定、さっきの研究者が部屋の扉を開けようとしてきた。 「すみません。今日は調子が悪くて……」 研究者の要求に、咄嗟に嘘をついた。 私がしなかったら、春稀は生き延びれるかもしれないから。