白〜忘れられない記憶〜







最後に、春稀が春稀で無くなってしまう前に、したい事があった。










「春稀。」



春稀の頭を撫でながら、小さく名前を呼んだ。


名前を呼ぶのは、これで最後だから。




最後くらい、笑顔で呼びたかった。








可愛くて……


優しくて……





とても大切な、双子の弟。








例え、貴方がどれだけ堕ちたとしても、私は貴方が大切だから。




例え、貴方が私の事を忘れても……







『プログラムが完成した!!』





研究者達は嬉しそうに大声を上げた。


あとは、それを実体化させるだけ。








――さよなら、春稀…―――