誰かに伝えないと。 違う、全体に伝えないと。 「春稀博士を生き返らせる際、記憶を消した方が良いかと思うのですが…」 大きめの声で言った。 理由を説明しなかったのは、周りにいるのは説明しなくても意味を理解できる。 そういう人間だから。 『あぁ…そうか。記憶を消さないと、また殺される。』 一人の研究者が呟いた。 その呟きに、周りも私の言葉に納得したようだった。 周りがクローンのプログラム作成を始めると、私は静かに春稀に歩み寄った。