「ありがとう、玲子ちゃん」
礼を言い、コクリと、スポーツ飲料を一口口に含むと、ほのかな甘さが喉に染み渡った。
「あー、美味しい」
思いの外、喉が渇いていたらしい。
「そうでしょうとも、そうでしょうとも」
『アタシのおごりなんだから、美味しくないはずがない』と、
おどけて胸を張る玲子の、自分を元気づけようとしてくれている気遣いを感じて、心が軽くなる。
もう、夢のことには触れたくない。
そう思いつつも、聞かないではいられなかった。
「……ねえ、玲子ちゃん。私、どのくらい気を失ってた?」
「え?」
意外なことを聞かれたように、玲子は、小首をかしげる。
「あ、なんだか、夢を見てた……ような気がするんだ。だから、寝言でも言ってたら嫌だなぁって」
「夢? って、アタシがタオルを濡らして戻ってきて顔に乗っけたらすぐに目を開けたから、たぶん、二、三分だと思うけど?」
二、三分?
そんな短い時間に、あれだけの内容の夢を見られるものなの?



