「優花ー。おーい、優花ってば!」


――あ、玲子ちゃんが呼んでる。


すうっと意識が浮上しはじめて、そんなことをぼんやりと考えていたら、いきなり顔面が冷たい感触に覆われて、寝ぼけた意識は、一気に覚醒した。


「うひゃっ!?」


冷たいっ!


顔面、正しくは額に置かれ濡れた冷たい物体を払おうと、反射的に手をやった優花の手よりも早く、誰かの手がそれを外してくれたようだ。


開けた優花の視界いっぱいに広がるのは、自分を心配げに覗き込む、顔、顔、顔。


声の主、玲子に、晃一郎。


それにリュウもいる。


その他大勢のクラスメイトに、一人だけ混じっている厳つい顔の成人男性は、体育教師の飯田先生。


「あ……れ?」


私、どうしたんだっけ?


夢と、現実が、ごっちゃになって、優花は混乱してしまう。