【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~


――そういえば、私の晃ちゃんも、理数系が得意だったりする。


もしかしたら、将来、お医者様になったりするのだろうか?


『私の晃ちゃん』、


思わず『私の世界の晃ちゃん』を省略してしまい、そのフレーズでハッと脳裏に甦ったのは、ここの晃一郎の『俺の優花じゃない』という、苦しげな言葉。


この世界が、自分が居た世界と良く似た世界なら、晃一郎とそっくりな金色頭のスーパー晃一郎がいるのなら、もしかして。


「あの、つかぬ事をお聞きしますが……」


『ここも如月優花――さんは、居るんでしょうか?』


と、もちろん、晃一郎にではなく博士に尋ねようとしたその時、


ガラリ! と、


突如、何の前触れもなく、病室のスライドアが勢いよく全開し、


優花たち三人は、弾かれたうに、一斉に入口へと視線を走らせた。


そしてすぐさま続く、殆ど絶叫。


「やだ、本当に、優花ーーっ!?」


え?