【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~


――って、偉そうにあんたが言うな、ヒヨコ頭!


と睨みつけていたら、博士がやっぱり邪気の欠片もない微笑みたたえて、凶悪この上ないことを言い放った。


「そうだね。リハビリに関しては、御堂君がついているから大丈夫だろう。彼はこう見えても、腕の良いドクターだからね」


「は……い?」


――誰が、なんですって?


ニコニコと穏やかな笑で言葉を続ける博士は、けっして冗談を言っているふうではない。


「ああ、まだ君は知らなかったんだね。御堂君には私の研究の助手をして貰っているんだが、彼は、優秀な研究者でもあり、第一線で活躍する新進気鋭の医師でもあるんだよ」


「は……?」


「特にリハビリ関係には強いから、安心して任せると良いよ」


「はい!?」


――な、なんで中学生が、研究助手でお医者様っ!?


瀕死の錦鯉のように、口をあんぐりと開けたまま固まっている優花に、博士が説明してくれと所によると、


基本的に同じような世界のパラレルワールドでも、まったく同じわけではなく、少しずつ違いがあり、この世界は優花の居た世界よりも医療技術とESPの開発が進んだ世界のようだ。