「悪い。本当は勝手に他人の心を読むのは、マナー違反なんだ。でもお前の思考って、無防備っつうか、ダダもれ……」
ゴニヨゴニョと語尾を濁しつつ、困ったように鼻の頭をポリポリかく晃一郎の顔を、穴があくほど見つめる。
ま、まさか。
夢うつつの中で感じた晃ちゃんの手の温もりと、頭に直接響いてくる不思議な声。
苦しさが見せた幻なんだと思っていたけど、本当に心が読めるなんてこと……。
「あるんだ、これが。正真正銘、俺は心が読める。ついでに言うとESP――、超能力全般の特A級の能力者なんだ」
「……」
「その顔は、信じてないな?」
信じろって言われても。
十五年培ってきた一般常識が、『そりゃあ嘘でっせ』と邪魔をする。



