【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~



手だ――。


大きな、晃ちゃんの、手?


『しゃべるな。心で思うだけでいい』


心……で?


『そう、思うだけで、俺には分かるから』


え?


言葉の意味が分からない。


『お前は今、ちょっとばかり大きなケガをしている。でも大丈夫。少し眠って目を覚ます頃には良くなっているから。だから、何も心配しないで、今は眠るんだ』


眠る?


『そう、眠るんだ』


耳に聞こえる『音声』ではなく、直接脳内に響いてくる不思議なその『心の声』はとても心地よくて、安心できて、


優花は、すうっと、眠りの中へと引き込まれていった。