高校を卒業したあと、優花は、看護師になる道を選んだ。


一番の要因は、父母の事故死にあったかもしれない。


身近に感じた、生と死。


優花は、忘れることではなく、真正面から向き合う道を選んだのだ。


その、二年後。


二十歳のときに、祖父母が、病いを得て相次いで亡くなり、


兄弟姉妹のいない一人っ子の優花は、天涯孤独になってしまった。


でも、周りには、何かと気にかけてくれるお隣の優しい幼馴染や、足しげく自宅を訪れては、楽しいひと時を共有してくれる、親友がいた。


――たぶん、幸せなのだと思う。


さびしいなんて思ったら、罰当たりだよね。


たとえ、胸の片隅に居座っている、このわけのわからない喪失感が、絶えずその存在を誇示していようとも。