【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~


「みんな元気にしてる?」


「ああ、みんな相変わらずだ。ポチのやつはお前が帰った後、しばらくは雲隠れしていたが、今は元気に、リュウの所でペット生活しているよ」


リュウの家は、西洋の古城を移築した文字通りの『お城』で、周囲はちょっとした森林になっている。


彼には、可愛らしいアンジェという妹がいて、ポチは、その子とえらく波長が合うのだと、晃一郎は優しい眼差しで語った。


三年前、


この世界に戻るときに、『別れたくない』と涙を流しながらも、その力を貸してくれた心優しい守護獣、ケルベロス。


無性に、あのもふもふした感触が恋しくなってしまった。


「ああ、ポチに会いたいなぁ」


思わず、ぼやくように声を上げると、晃一郎がニヤリと口の端を上げた。


「ああ、あいつも会いたがってたよ。ってか、実は、すぐそこまで来てたんだ」


「え?」


うそっ!?


「ほら、三時間目の準備に教室に戻ったろう?」


「あ! もしかして、あの時見ていた窓の外に――」


「いたいた。お前の気配を感じて、喜び勇んで飛び出してきそうだったから、丁重に追い返した」


「あ、あははは……」


――そ、それは、さすがにマズイです。


あの巨大サイズの羽根付きワンコが、空中を飛び回った日には、自衛隊が出動しちゃいます。


「なに? 私の顔に、何かついてるの?」


力で制御しているから、考えを読まれている訳はないが、


優花の顔を見つめてニャッと笑うその表情が、まるでなんでもお見通しだと言ってるみたいで、なんとなく面白くない。