【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~


優花がこの世界に戻る時、


まだ研究段階だったパラレル・ワールド間を行き来できる『時空間移動マシン』。


その後、飛躍的に開発が進みはしたもののまだ完璧ではなく、移動できるのは同じ時間軸のみに限られる。


つまり、過去や未来には行けず移動できるのは、現在のみ。


更に、二十四時間で戻らないと、帰れなくなるらしい。


『らしい』と言うのは、ロボット実験ではその確率が高かったということ。


人間で試みたのは、今、優花の目の前に立っている金髪の向こう見ずが第一号だから、どうなるかは未知数。


パラレル・ワールドと言うのは無数に存在していて、かつ座標も不安定なので、元に戻ったつもりが実は全く別の世界、という事態も起こり得るのだとか。


いくらグリードの残党がこの世界に紛れ込んだからと言って、良くも気前よく来られたものだと思う。


まったく。


向こう見ずは、相変わらずだ。


感謝するよりもあきれ果てて、まじまじと顔を見上げていたら、何を思ったか、晃一郎はその場にひょいっと胡坐を組んで座り込み、


「まあ、とにかく突っ立ってないで、座れば?」


と、自分の隣を、『ここにおいで』とばかりにトントン叩いた。


相手は、セクハラ大魔王。


近づき過ぎには、要注意。


自分にそう言い聞かせて、仕方なしに、少し離れて左隣に腰を下ろした。