【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~


俺様で、傍若無人で、女好きで、セクハラ大魔王で。


誰よりも愛情深いのに、


愛の言葉なんか絶対口にしない、超照れ屋。


『俺が本気で惚れた女だからな』


――あの晃ちゃんの口から、あんな言葉が聞けるなんて、思ってもみなかった。


『少しは、成長してるのよ、晃一郎も』


彼女が、嬉しそうに口の端を上げる。


「うん、みたいだね」


つられて、思わず込み上げる笑いの衝動。


二人でクスクスと笑い合っていると、遠くで必死に優花の名を呼ぶ晃一郎の声が聞こえてきた。


優花が完全に覚醒した今、『彼女』が顕現しても、意識は保っていられるようだ。


『ああ、ほら、心配しいが呼んでるから、行ってあげて』


「うん。もう行くね」


小さく頷き、胸をよぎる別れの予感に、思わず目を伏せた。