【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~


――許容できないような現実が突き付けられた時、自分がそれに耐えられる自信なんか、私にはない。


「晃ちゃんは、私を買い被ってるよ。私、弱虫だから、いっつも逃げることばっかり考えてるんだから」


『やんなっちゃうよ』と、笑おうとして、失敗した。


――ああ、もう。


なんだか、自分が情けなくて、涙が出そう。


「いや、お前は強いよ。お前は、何が大切なことか、自分で選べる人間だ」


「晃……?」


腰に回した右手はそのままに、左手がそっと包み込むように頬に触れ、晃一郎の顔が近づいてくる。


「俺が本気で惚れた女だからな」


低い囁きが耳朶を叩き、


抗う間もなく、そっと唇に落とされたのは、甘い口づけ。


その刹那、頭の中で何かが弾け飛んだ。