「俺が、怖いか?」
「違っ、違うよ!」
静かな問いに、唯一自由に動く頭をブンブンと振る。
――晃ちゃんが、怖いわけじゃない。
たとえ、もしも今目の前に居るのがパラレルワールドの晃ちゃんでも、怖いとは思わない。
でも、夢を現実だと認めてしまったら、
きっと、私は『思い出したくないことまで思い出してしまう』。
それが、どうしようもなく、怖いの――。
小刻みに震えるその背を、まるで幼子にするようにトントンと撫でて、晃一郎は優しい眼差しで真っ直ぐに優花の目を見据える。
「俺は、お前が忘れている三か月間の如月優花という人間を良く知っている。俺が保障するよ。お前は、自分の記憶に押しつぶされてしまうような弱い人間じゃない」
『自分の記憶に押しつぶされる』
そう、それが一番怖かった。



