【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~


「晃ちゃ――」


「優花、大丈夫だ。大丈夫……」


すうっと耳に届いたのは、感情に走ったようすなど微塵も見られない、とても穏やかな声音だった。


あの夢の中、


事故の怪我と見えない恐怖に、心が壊れかけていたあの時、


語りかけてくれた時と同じに、優しい響きを持った声が静かに降り積もる。


「怖いことなんて何もない。俺は、お前が嫌がることは絶対しない」


まるで、幼い子供に語りかけるように、どこまでも慈愛に満ちたその声は、とても安心できて。


嘘は、言っていない――と思った。


「これが最後でいい。もうお前を煩わせるような真似は二度としない。だから、今だけ、信じてみてくれないか?」


最後? 二度としない?


その言葉にドキッとして、反射的に顔を上げると、真っ直ぐな眼差しがすぐ目の前にあった。