【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~


「……」


うーっ。


嫌だ。


こんなの変だ。


我慢の限界だ。


どうせ、これ以上に訳の分からない状況にはなるはずないんだから、聞いちゃえっ。


よしっ、行けっ!


「晃ちゃん!」


重い優柔不断の鎧を脱ぎ捨てて、思い切って口を開いたのに。


ちょうど林と林の間にぽっかりと空いた、芝植えの広場の真ん中で、晃一郎は足を止めて無造作に腰を下ろし、


手を繋がれたままの優花は、その不意打ちの動きに付いていけずに『きゃっ』っと、小さな悲鳴を上げてステン! と尻もちをついてしまった。


フアサッと、スカートがめくれあがり、むき出しになった太腿に一瞬硬直。


ぎゃーっ!?


っと、心で叫び、


思わず持っていたカバンを放り出し晃一郎の手を振りほどき、めくれ上がったスカートを必死に抑え込んだ。