【黄昏の記憶】~ファースト・キスは封印の味~


それほどに、今の晃一郎は、いつもと違う。


違いすぎる。


混乱してその場に立ちすくむ優花の手を、晃一郎がさりげなく掴んで、そのままぐいぐいと引っ張っていく。


いつもなら、絶対黙って連れて行かれるような真似はしない。


でも。


振りほどけない。


ほんのりと、手のひらから伝わる温もりに、抗う気持ちを溶かされて、


なすすべもなく、引っ張られていく。


「あ、ちょっと、御堂! あんたの事は先生になんて言うのよ!?」


「俺は、祖父さんが死んだから、忌引き早退!」


「はあっ!?」